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「奈良県・漫歩計様」から投稿頂きました。

紅葉で有名な、奈良県の談山神社に行ったときのことです。談山神社は、奈良盆地の南端、桜井市の南の600mぐらいの山の上にあります。

山歩きの好きな私は、談山神社だけでなく神社の裏手にある山(御破裂山)にも行ってみようと思い、観光客で賑わう神社の奥から山に入りました。深い森の中、山道を20分ほど登ると、藤原鎌足の墓のある山頂に着きます。墓の裏手には展望所もあります。

展望所から奈良盆地の眺望を楽しみ、帰ろうとした時のことです。墓の前の砂利道の片隅に、鍵らしきものが落ちているのに気がつきました。拾ってみると、キーホルダーにキーが2つくっついています。どうも車のキーと家の鍵のようです。
車のキーだけなら予備を持っている可能性もありますが、家の鍵と同時に無くしたらさぞかし困ることでしょう。これは放ってはおけません。

無くした人は多分神社の中や周囲を探し回っているだろうと思い、神社の社務所にに届けようと、急いで山道を戻ります。戻る途中も、ひょっとして落とし主と行き違いになるかも知れないと思い、鍵を手に持って体の前にかざし、ジャラジャラ音を鳴らしながら歩きました。

山道が終わりかけた頃です。深刻な形相で、急ぎ足で歩いてくるご夫婦に出会いました。後ろを歩いていた奥様の方が鍵束の音に気づき、「あっ、その鍵・・・」。

無事に鍵を取り戻すことの出来たお二人は大喜び!今までの血相を変えたような様子から一変し、満面の笑顔に。ほっとして、その場にへたり込みそうな感じさえしました。
鍵が見つからなかったら車にも乗れず、たとえ帰り着いても家に入ることも出来ないのですから、地獄にでも落ちたような気分だったのでしょうね。

鍵を拾えば誰でもするであろう当たり前のことをしただけなのですが、喜んでいただいて、こちらもとても嬉しくなりました。まるで何かものすごく得をしたような、さわやかな気分です。

人の役に立つというのは、これほど嬉しいものなのだ、と改めて感じた一日でした。