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時計台

「大阪府・惣四郎様」から投稿頂きました。

今から32年前の事です。

小学校までは片道4kmもあり、私達はほぼ毎日その距離を通っていました。長い通学路、子ども達が途中で時間が分かるようにと、中間地点になる道路沿いの家の壁に、時計を取り付けてもらえる事になりました。時計は小学校が贈呈して下さり、中間地点の家の方も取り付けを快く了承して下さったのです。

私は小学生の代表として時計の授与式に参加し、時計を受け取った後、大工の父に時計入れを作ってもらいました。雨風から時計を守る為です。完成後早速、中間地点の家に時計が取り付けられました。

次の日からその家は、「時計台」と言われる様になりました。

私達は毎日時計を見て、遅いと『走れ〜!』と言い合い、余裕があると安心して歩きながら学校へ通いました。

時計だけでなく、時計台では色々とお世話になりました。水を飲ませてもらったり、登校中に捕まえた魚を帰りまで預かってもらったり・・・、今思うと他人の方に無理なお願いばかりしていたように思います。

そして大人になった今、ある大切な事を思い出しました。

私達が見るあの時計を、時計台のおじさんは、毎日遅れていないか管理してくれていたのです。当時はもちろん電波時計などはありませんでしたから、時間がくるうとおじさんは、梯子にのって時間を合わせてくれていました。何も分かっていない子どもだった私達は、高い所で何かをしているおじさんの後ろ姿を見て、笑っていただけでした。

今更ですが、時計台のおじさん、おばさん、有り難う!あの時計が毎日私達を見守ってくれていたように、おじさん、おばさんも見守っていてくれたのですね。

何代目かになる時計は、今も同じ場所で小学生を見守り続けています。