荷物 2008.05.08 「広島県・アップル様」から投稿頂きました。 知人の話です。現在73歳になりますがご縁があって、週3回現役でお勤めさせてもらっています。通勤電車に乗ってわずか40分ばかりの距離なのですが、帰りは疲れるのでできるだけ座るようにしています。2週間ばかり前の出来事です。たまたま座席が空いていなかったので立っていると、2人の幼い女の子と若いママさんが乗ってきました。驚いたのは、その荷物の多さです。2本の傘を含めると、大小さまざま10個くらいあったでしょうか。荷物の様子から見ると、キャンプ帰りのようでした。2本の傘が私の方へ倒れてきたので、「ここに掛けておくといいですね」と、座席の横の金棒に掛けました。「空港で無理矢理、たくさんの荷物を積んだものですから・・・」という彼女の言葉に、これだけの荷物をどのようにして運んだのだろう、母親の力は偉大だと感心しました。どこまで乗るのかと尋ねるとA駅より手前のY駅までということだったので、 「ぼくはA駅です。Y駅に着いたら一緒に荷物を下ろしましょう」と申し出ました。 暫く乗っていると次第に乗客が少なくなり、離れたところに空席ができました。内心座りたいと思いましたが、今更離れるわけにはいかないので、ガマンしているうちにY駅に着きました。それからがしばらくドタバタ。一番大きい荷物を運ぼうとすると、「それは重いから私が運びます」とお母さんが言いましたが、私が運び出しました。顔には出さなかったものの確かに重く、なんとか電車から下ろし男の面目を維持しました。走り始めた電車の座席に座ると、たいしたことをしたわけでもないのに、なぜかちょっぴり幸せな気分になりました。そして、こんな機会に遭えたことが幸運のように思えてきました。