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淡い恋心

「兵庫県・匿名希望様」から投稿頂きました。

私が幼い頃の話です。

その頃私は、習字教室に行くのを怖がっていました。とういうのは、吠えるわけでも噛むわけでも無かったのですが、道中にいる犬を恐れていたからです。

その日も行けず、とうとう引き返してしまいました。寒さの中、何分か道の前でウロウロしてましたから、鼻がズルズル言っていました。

家に帰る途中の踏切前で、野球チームの仲間らしき集団にでくわし、その内の一人が、私と同じ方向に進んで行きました。私は人見知りがありましたから、その男の子と踏切待ちで並んだ時、下を向いていました。

その時です。「泣いとん?」と突然声を掛けられました。
泣いていたわけではありませんでしたが、教室に行けなかった事の罪悪感が有ったのか、その一言がとても心に響きました。

誰だろう?と思い顔を見ようとしましたが、踏切があき、その男の子は行ってしまいました。結局、今でも誰だかわかりません。

友達に話したら「その子は、あんたのこと知ってたんじゃない」と言われました。今思えば、もしかしたら、その誰か分からない男の子に、私は恋をしていたのかもしれません。