哀しみを救った知恵 2000.12.04 「京都府・匿名希望様」から投稿頂きました。 私の知り合いに幼い息子さんを交通事故で亡くしたご夫婦がいます。お母さんはあまりの悲しみに、何ヶ月もタンスに入っている息子さんの服を「あの子の匂いがする」といって毎日かいでいたそうです。ところが小さな服の匂いはだんだん薄くなってきました。残り香と一緒にお母さんの悲しみも消えるかと思われたのですが、お母さんはそのことに気付くと正気を失うほど悲しみ、悲しみは癒えませんでした。 お父さんもどうしていいかわからず苦しんでいた時、話を聞いた同じ幼稚園のお母さんたちが数人自分の子供の服を持ち寄りあい、こっそりタンスの奥へ入れておくようにとお父さんに言ったそうです。お父さんがそうすると子供らしい匂いがタンスの中によみがえりお母さんは落ち着かれ、やがては息子の死を受け入れられるまでになったそうです。事実はお母さんにはまだ知らされていません。でも狂気の中にあったお母さんを救ったのは同じ母親たちのやさしい知恵だったと私は思います。