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セミの声

「大阪府・Tany様」から投稿頂きました。

 出勤途中の出来事です。

月曜の朝、休み明けの寝ぼけ眼で会社への最寄り駅を降り立つと、耳に飛び込んできたのは大音量のセミの鳴き声でした。地下鉄なのでとても反響しています。

どうやら外から紛れ込んでしまったようです。姿は見えませんが、ホームのどこかにいるようです。一週間という短い寿命で、こんなところに入ってしまうなんて、、、と少々不憫に思いながらも会社へ向かいました。

ホームの階段を上がり、改札を出ます。

ジージージー!!

セミの声はいっこうにやまないどころか、音量も全く変わらず聞こえてくるのです。出口へ向かう間も、セミの声は相変わらず凄い音量で響いています。おかしいなあ、ホームにいたはずなのに。。。と不思議に思いながら、地上へ出ました。

会社に向かう道で前を歩いていたおじさんが、ふと一本の木の前で足を止めました。そして手に持っている何かをそっと木の幹に置いたのです。

ジージージー!!

木の幹から元気なセミの声が聞こえてきました。
おじさんが木に置いたものは、ホームに紛れ込んでいたセミだったのです。おじさんは地下鉄に迷い込んだセミを、さりげなく外に離してあげていました。通勤の喧噪の中、その優しさに心を打たれ、とても暖かい気持ちになりました。

「今日も一日頑張ろう!」そう思って足を一歩踏み出しました。