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愛されるより愛せ

「大阪府・髙林英夫様」から投稿頂きました。

私の父は、75才で胃ガンにより他界しました。

当時私は35才で、運輸業に従事していました。その年のゴールデンウィーク、まだ元気だった父は孫に会いたいのもあったのでしょう、私達のところに遊びに来てくれました。静岡県久能山の石垣イチゴを食べに行き、東照宮の見物もして一緒に楽しく過ごしたのが、元気だった父の姿を見た最後になってしまいました。田舎に戻った後、父の身体は急変し、即入院となってしまったのです。

私は入院先に見舞いに行きました。父は手術の後で、酸素マスクをして点滴を打たれていました。ビニールの集中治療室の中から、私に手招きしてきます。「メモ用紙と書く物をくれ」と言っているのが分かりました。

用意して渡したメモ用紙に、『愛されるより愛せ』と書いています。突然そんな事を告げられても、私には父の伝えたい真意が理解できませんでした。

翌日には勤務地に戻らなければなりませんでした。帰る身支度をして、もしかしたら父に会う最後になるかもしれないと思い、再度お見舞いに行きました。その日の父は体調が良く、少しなら話せる状態でした。

声を絞り出しながら、父は、私にこう言ってくれました。

「自分がいくら良くても、決して人様は話しかけてくれない。自分で行き求めなさい」

これが、メモに書いてくれた『愛されるより愛せ』にも繋がるのだろうと、思いました。人から与えられる事を望む前に、まず自分が与えなさい、そう言いたかったのではないでしょうか。

その後、私の手を握りしめながら、父は静かに息を引き取りました。

お父さん、ありがとう!私は来年古希を迎えますが、今でも父を尊敬しています。