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寒中水泳

「大阪府・山田眞佐美様」から投稿頂きました。

大寒の頃になると、決まって思い出すことがあります。高校時代、所属していた水泳部で行われていた伝統行事、寒中水泳です。

雪の降る一番寒い日、プールに張っている氷を割って、一人50mずつ泳ぐのだと、入部当初より、先輩から耳にタコができるほど聞かされていました。そして、不安一杯でその日を迎えたのです。

放課後、あちこちから見物客がプールサイドに集まって来ました。水着に着替えた部員達が飛び込むのを今か今かと待っています。寒さに震えながら準備体操を終え、「セーイ!」のかけ声と共に、キャプテンが水の中に飛び込びました。沸きあがる歓声。あっという間に50m泳ぎ、リレー形式に次々と先輩たちが飛び込んでは、水しぶきをあげ25mプールを折り返し戻ってきます。唇は紫色。怖い。寒い。止めたい。泣きそう・・・でした。

とうとう、私の番がきてしまいました。皆の声援に後押しされ無我夢中で飛び込みます。不思議と水を冷たく感じませんでした。必死に身体を動かし、泳いだのかどうかも分からないまま、気がつくとスタート地点に戻っていました。

誰かが差し伸べてくれた手にすがり、水から引き上げられた途端、震えがきて、その場で座り込んでしまいました。肩にかけてもらった毛布が冷たくなって、余計に寒かったことが今でも忘れられません。全員見事泳ぎ切り、伝統行事は拍手喝采で幕を閉じたのです。

あれから23年。今は絶対できないことですが、あの時の記憶が、寒い冬を乗り切る私の力になっています。