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子犬と僕

「熊本県・カメレオン様」から投稿頂きました。

子供の時、子犬を拾いました。ダンボールの中で震えながら僕を見上げる小さな命。「拾った・・・いや、出会ったのだ。」その時、そう思いました。

しかし、両親は無情にも「捨ててきなさい!」と一喝。当時は団地住まいでしたので、犬を飼えませんでした。今でこそ分かりますが、あの頃の僕は、全てを理解するにはまだ幼すぎました。

行くあてもなく、子犬を抱いたままフラフラと町をさまよいました。すっかり日も暮れて、街灯に照らされながら僕と子犬は公園のブランコに座っていました。途中で1個だけ買ったコロッケ。半分渡すと、美味しそうに食べて僕を見上げる子犬。もう半分も渡し、それも食べ終わると僕のひざによっかかってシッポを振っています。

すると、どこからともなく僕の名を呼ぶ声が聞こえてきました。父でした。咄嗟に身を隠すものの、引っ張り出されてしまいました。僕は子犬と引き離され、そのまま車に乗せられました。遠ざかる子犬が涙で滲んで見えなくなっていきます・・・。その後、僕はたっぷり説教を食らいながら、心のどこかでそれを否定し続け、夜を明かしました。

翌朝、母親にたたき起こされました。目の前に映る光景を信じられない面持ちで見つめました。なんと、そこにはあの子犬がいたのです。驚きが先立って、喜びの声すら出てきませんでした。

なんでも、母が早朝ゴミを出そうとしたところ、玄関の前に立っていたと言うのです。ここまでされてはと思ったのか、母は子犬を飼うことを許してくれました。もともと動物好きな両親だったのですが、団地ということで心を鬼にしたのでしょう。苦しい選択だったと思います。

もちろんコッソリ飼うわけですが、意外と苦情もなく、むしろ人気者となった子犬(すぐバレました)。2年後には一軒家に引越し、幸せな日々を送りました。

「モコと名づけられた子犬。君が来てもう8年になります。君と共に過ごした日々が遠く懐かしく、共に歩いた道のりを僕はもう少しだけ歩かなければなりません。寂しがらなくていいよ。いつの日か必ず会いに行くから。だから今はゆっくりおやすみよ。さようなら・・・モコ・・・。」

モコは 、静かに息をひきとりました。安らかに眠ってほしいと思います。