洗濯 2005.03.16 「徳島県・梶谷勇斗様」から投稿頂きました。 高校2年生になる少し前のことです。 学校までは電車で通っていたのですが、私の地域から学校までは40分もかかります。野球部に所属していた私は、始発の電車で登校し、終電で帰るという毎日を過ごしていました。 朝が早く夜が遅いということで、両親(特に母)に迷惑をかけていました。それで私は、学校の近くに住んでいる監督に頼み、下宿をさせてもらうことにしたのです。下宿先には、地元で近所の先輩がいたり、県南部から来ている同級生もいましたので、安心して決断しました。 下宿生活が始まり一番戸惑ったのは、実家にいた時はいつも母がしてくれていた「洗濯」です。夜遅く帰って来る上に、洗濯物がなかなか終わらず、寝不足になることもありました。冬の寒い日には、手が凍えそうになりながら、洗濯物を干していたのを今でも鮮明に覚えています。寒さのせいで、洗濯物がなかなか乾かず、試合が連日続く時は、扇風機やこたつを使って乾かしていました。洗濯物の汚れにも苦労しました。試合でドロドロになり真っ黒になったユニフォームの汚れは、洗濯機で洗ったぐらいでは落ちません。洗濯板を使い白く綺麗にしたりと大変な日々でした。実家を離れて暮らしてから、両親の苦労が身にしみて分かるようになりました。両親はそんな私を心配し、よく電話をかけてきてくれました。今思い返すと、実家で一緒に住んでいた時よりも、会話が増えていたと思います。そして、最後の夏の大会。残念ながら試合に負け、私の高校野球の夢は終わってしまいました。実家に戻ると、母が「お疲れさま!」と優しく声をかけてくれました。それまでの私にはあまりなかったことなのですが、「ありがとうございました。」と両親に対して自然に声に出していました。実家から離れて暮らしたことにより、両親の苦労が分かり、素直に感謝できるようになったと思っています。