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宝物の石

「福井県・カズオ様」から投稿頂きました。

これは、私の山友である特別養護老人ホームで働くS子さんの話です。S子さんの趣味は山登りですが、まだ始めて1年の新米です。

ある日、S子さんの担当外のおばあちゃんが、日ごろ良くしてくれる彼女に「姉ちゃん、今度山に登ったら石を拾って来てくれんかのう。私の宝物にするから・・・」と頼んだそうです。

S子さんは、自宅近くのスナック(山好きがよく集まる店)で、どこの山へ石を拾いに行ったらよいかと相談していたら、その話を黙って聞いていた青少年の家の所長・Tさんが、「その話、のった!俺が連れて行く!白山の石にしよう」と言ってくれたそうです。

白山は2,700m級の百名山、健脚者でないと日帰りは無理な山です。

今度のTさんの休日は11月1日、S子さんは1日は休日ですが、前日の31日は夜勤で翌日の2日は平日勤務です。日帰りで登山するしかありません。初体験の山で自信など全くありませんでしたが、Tさんの善意に甘え挑戦する事にしました。

当日は、ねむ〜い目をこすりながら、早朝6時から準備して白山に向かいました。もうすぐ冬山になる時期です。寒さ・寝不足と戦いながら登っていきますが、途中何度もここら辺の石でもいいかと、くじけそうになり立ち止まったそうです。その度に、Tさんから『待っているおばあちゃんの事を思え、行くぞ』と叱咤激励を受けながら、歩を進めます。下山の所要時間とも戦いながら、息も絶え絶えに頂上に何とか着いた時には、もう立っている事すら出来なかったそうです。座り込んで雪をかき分けて掘り、どうにか5〜6個の石を拾う事ができました。

その後はすぐさま下山開始、再度Tさんに励まされながら、駐車場に戻った時には17時過ぎで辺りはもう真っ暗でした。S子さんは、なんとかやり遂げた事にほっと安心したそうです。

石を拾いに行く日を聞いていたおばあちゃんは、2人が登山している頃、車椅子に座り長い間、白山の方を眺めていたとのことです。

翌日ハンカチに包んで、おばあちゃんに白山の石を渡すと、「ダイヤモンドより素晴らしい!私の一生の宝物にする!」と、とても喜んでくれたそうです。大切にお守り袋に入れ、S子さんが居ない日には、S子さんを思いながら眺めているそうです。おばあちゃんの喜ぶ姿を見て、S子さんは、霊山でもある白山の頂上の石にして本当に良かったと、心から思ったとのことでした。

彼女への報酬は、おばあちゃんの笑顔だけです。S子さんの素晴らしさもさることながら、貴重な休日を見ず知らずのおばあちゃのために惜しみなく使い、見事にS子さんをバックアップしたTさんも大変素敵な方だと思います。見返りを求めず人の為に尽くす、なんと崇高なお2人なんでしょう!

この話を聞いた時、私は涙がとめどなく流れました。

普段は化粧もせず、荒れた手できつい仕事をしているS子さん。どんな美人より、素晴らしく輝いています。世の中お金よりもっと大切な物があると、再認識させられました。

私は感動で、是非Tさんに逢ってみたいという気持ちになり、話を聞いた翌日、Tさんの勤務する青少年の家を訪れました。初対面にも関わらず、快く笑顔で面談してくれたTさんに、私は泣きながら『感動をありがとう』といった話をしました。

想像通りの精悍な顔つきの中にも柔和な面が覗える、素晴らしい男性でした。お別れの握手をした時、Tさんも目がうるんでいらっしゃり、温かい心を感じました。

真心ってこんなにも人の心を打つんだなあと、初めて実感できたとても素晴らしいお話しです。

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