2017年5月アーカイブ

先日、仕事の関係で私の育った地域に行くことがあり、懐かしく感じて昔遊んだ公園へと足を運びました。

左程大きくもない公園なのですが、私が小学生時代には家の近くで野球が出来るところと言えば、この別名カンガルー公園(古江東公園)だったのです。

その公園は丁度1塁〜3塁の後方3〜5mのところに壁があり、ライト側は高さ2mの壁の向こうがお墓、センターからレフト側は5mの壁の向こうが畑でした。野球を始めた小学校低学年の頃は、その壁を越えるような打球はなく、友達と集まっては毎日のように野球をしていました。しかし、4年生の頃には、野球が上手くなるのと同時にパワーもつき、遂に打球が壁を越えるようになってしまいました。

ライト側はまだいいのですが、センターからレフト側は壁を超えると、向こうの畑へボールを取りに行かねばなりません。勝手に畑に入ると、畑の持ち主のおじいさんにこっぴどく怒られたもんです。そのおじいさんが怒っていたのは、無頓着な子が種や苗を植えた場所へズカズカと入ったり、農作物を踏み倒したりしていたからなのですが、「こら〜っ!」と怒鳴られると一目散で逃げ帰っていた私達にそんな理由などわかるはずもなく、単に怖いおじいちゃんとばかり思っていました。

セーブしなければ、打球は楽に壁を越えてしまうようになった6年生の時、いつものように集まって野球をしていたある日の事です。

私の打球がセンターの壁を越えてしまい、あの畑へとボールを探しに行かなければならなくなりました。こっそりと見つからないように、畑の作物を踏まないよう注意しながら、ボールを探していたところ、なんと運の悪いことに例のおじいさんと鉢合わせしてしまったのです!

内心『しまった』と思いましたが、意を決して大きな声で「すみません。ボールが入ってしまったので、取らせて下さい」と言い、深々と頭を下げました。

すると、その怖いはずのおじいさんは怒鳴るどころか「そうか、どこらへんに入ったのかな?」と言って、ボールを一緒に探してくれたのです。怒られると思っていた私は拍子抜けしたのと同時に、とても嬉しく感じました。

一緒にボールを探しながら、おじいさんは色々話してくれました。大事に育てた農作物を、何も考えずに踏み荒らす子供がいること。それでも、公園が狭いから仕方ないとも思っていること。ボールを探す時は作物を植えている所には入らないように、みんなに伝えると、私はおじいさんと約束しました。

探していたボールは、おじいさんの力を借りて程なく、別のボール5個と一緒に出てきました。その手土産(5個のボール)と自分のボールを握り締め、大きな声でお礼を言ってみんなの所へ戻りました。

それから数週間後、レフトからセンターにある5mの壁の上には、さらに2m程のしっかりしたフェンスがズラッと張られていました。おじいさんが私達の為に、わざわざお金と労力をかけて、ボールが入らないようにと気を配ってくれたのです。

6年生にもなれば、私もそのことが痛いほどよく解ったので、おじいさんの顔が見えた時、野球をやっていたみんなを集め、一斉に大きな声で「有難うございました!」とお礼を言いました。すると、おじいさんは嬉しそうに、「おう!もうこれでボールは入らんじゃろう!」と上から手を振ってくれました。

しかしながら、子供の頃の成長は早いものです。。。おじいさんが見守る中、私の打球が設置してくれたフェンスを越えて、畑の中へと消えていきました。。。その時のおじいさんの苦笑いは、今でも忘れられません。

約33年の歳月が経ち、その公園を訪れたのです。おじいさんのフェンスは、私の懐かしい思い出と共に、しっかりと朽ちることなく残っていました。

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