2016年1月アーカイブ

私がゆまちゃん(仮名)と出会ったのは、もう数十年も前のことです。今でも、目が大きく無邪気で可愛いゆまちゃんの写真を、手放すことができません。

当時、私は駅前のマンションに住んでいて、5歳だったゆまちゃんはお隣さんでした。ゆまちゃんは、人懐っこい陽気な子で、「お姉ちゃん」と言って私になついてくれていました。ゆまちゃんは、お母さんとお姉さんの3人家族で、お母さんは、夜働いていらっしゃるようでした。帰宅するのはいつも夜遅い時間で、その間ゆまちゃん姉妹は留守番しているのですが、時々マンションの駐車場をうろついたりして、管理人から注意を受けることもありました。

夜中、ゆまちゃんのお母さんが帰宅すると、子供を叱る声と叱られた子供の泣き声が毎日のように聞こえてきます。騒音だと一言で片づけてしまえばそれまでなのですが、子供に対する母親の深い愛情を感じ取ることができる叱り声でした。その愛ある声を聞きながら、騒音は相手に恩を感じることで、相恩(そうおん)に転化するのではないかと思いました。

ある日の夜、壁を通して会話が聞こえてきました。ゆまちゃんのお姉ちゃんがいなくなったと電話を受け、お母さんは職場から飛んで帰ってきたようでした。帰った時にはお姉ちゃんは家に戻っていたようで、「もう、心配するじゃないの。こんなんだったら、仕事に来てくれなくてもいい、って言われちゃうでしょ」そう叱りながらも、お母さんの子供に対する愛情が、壁越しにひしひしと伝わってくるようでした。

その後、私は引っ越すことになりましたが、ゆまちゃんに会いたくて、彼女が通学する小学校に行ったこともありました。ゆまちゃんは、元気そうに過ごしていました。

それから四半世紀が過ぎた頃、地元でゆまちゃんのお母さんとばったり出会いました。 「久しぶりね。ゆまちゃんを可愛がってくれていたわね」と、お母さんが声を掛けてくれました。ゆまちゃんは結婚して息子さんがいると伺い、お母さんのお話からゆまちゃんの幸せな様子を垣間見ることができ、嬉しくなりました。

ゆまちゃんは、私を覚えていてるでしょうか?ゆまちゃんの写真を見る度に、当時を思い出し、ほんわりと優しい気持ちになります。

仕事帰りの夕方の出来事です。

北風が吹く中、中山手通りを渡ろうと、信号待ちをしていました。ふと見ると、横断歩道真ん中の中央分離帯に座り込む男性とその傍らにいるもう一人の男性の姿が、目に留まりました。

青信号になったので二人に近付き、「どうしたの?」と声を掛けました。

傍らの男性の話によりますと、座り込んでいる方がいるので傍に行き話しかけると、具合が悪くて動けないとの返答だったそうです。救急車を呼ぼうとしましたが、少し休めば大丈夫とのことで、飲み物を買って飲ませてあげ、暫く付き添ってあげていたそうです。私が声を掛けた時は、かなり落ち着いてきていらっしゃったところだったようで、ホッとしました。

お話を伺うと、付き添っていらっしゃったのは、なんとまだ来日したばかりの中国出身の学生さん!国境を越えた優しい思いやりに、寒さも忘れ心がホッコリしました。

世界の至る所で国や民族同士の争いが起きていますが、こんな素敵な心優しい民間の外交官さんがいらっしゃるんだと、とても嬉しくなった日でした。

私は先日、非常に不思議な体験をしました。こんな事は、一生のうちでそうないと思います。

なんと、他人の貯金通帳を2ヶ月連続で拾ったのです。

1度目は、職場の近くでM銀行の通帳を拾い、その日のうちに交番に届けました。交番で私の名前や住所等を聞かれ、1ヶ月後、落とし主が現れたという通知を郵送で頂きました。1割の謝礼をもらう権利があると知らされましたが、辞退しました。

それから1ヶ月後、今度は私の家の近所で、通帳ケースを拾いました。以前と同じM銀行の通帳とキャッシュカードが、6冊ほども入っていたのです。通帳名を見ると、すぐ近くの宗教団体だったので持参しましたが、キョトンとしたような顔をされただけで、お礼のひとつもありませんでした。

僭越ながら、『拾ったのが私ではなく、悪意のある方だったらどうなっていたのだろうか?』と思ってしまいましたが、その時過去の出来事を思い出しました。私は、10年以上も前、3回も電車で財布入りのバッグごと落としたことがありましたが、いずれも良心的な拾い主が現れ、財布の中身はそのままで戻ってきたのです。

この事を思い出し、これは単に偶然ではなく、『善意の継承・スパイラル』なのかもしれない、と思うようになりました。私が善意で拾ってもらったから、私もその善意を受け継いでいく。自分が善意を受けたら、今度は他人に返す。こんな素敵なスパイラルが、どんどん拡大していったら、世の中も変わるのではないのでしょうか。

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