2015年4月アーカイブ

新宿でエイサー祭りを観覧しての帰り、京王線の特急に乗った時のことです。

一つ目の停車駅では降りる人も少なく、いつもは雪崩を打つように乗客が入ってくるのですが、その日は違いました。

ちょっと間が空いて、白い杖を持った青年がたどたどしく入ってきました。掴まろうとしたのでしょう、入口の手すりを探すそぶりをしました。しかしそこには、始発からスマホのゲームに夢中になっている、若い青年の先客がいました。

私はどうなるんだろうと、じっと様子を見ていました。ゲームに夢中だった青年は、空をさまよう手を見て白い杖の青年に気が付き、寄りかかっていた手すりから身体を離し、瞬時に杖の青年を手すりまで誘導しました。

それと同時に他の乗客が、勢いよく乗ってきました。白い杖の青年は、手すりに寄りかかると、見えない相手に向かって軽く頭を下げました。

時間にすれば、十秒もなかったでしょうか。他の乗客にかき消され、ゲーム青年の咄嗟の行動に周りの人は気づかなかったと思いますが、終始見ていた私には、今も忘れられない光景となっています。

あの日、帰宅途中のコンビニでビールを買い、素敵な光景を思い出しながら、二人の青年の前途を祈って一人乾杯しました。

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